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無農薬で茶園を守る親子の思い　「朝宮茶を全国ブランドに」

「朝宮」の地名が光る茶葉のパッケージ

豊かな香りが好評の無農薬茶葉

無農薬で茶葉を育てる　茶農家の6代目が始めた無謀な挑戦

　かたぎ古香園が無農薬の茶づくりを始めたのは昭和50年。茶畑には、年間10回以上の農薬散布が当たり前だった時代に、思い切った決断をした理由のひとつを「お客さんの顔が見えるようになったこと」だと話すのは、同園6代目の片木明さん。
　片木さんの茶畑がある、甲賀市信楽町朝宮地域は、日本最古の茶産地で「茶業界では高品質の茶葉産地として古くから有名だった」と胸を張る明さん。しかし「茶葉のほとんどを隣の有名産地に卸していたため、一般消費者が朝宮の地名を知らないのが残念で」。
　そこで明さんは、自園で生産した茶を製品化。朝宮茶として催事や一般家庭を訪問して対面販売を始めた。「お客と直接話すようになり、中途半端な商品を作れへんと思うようになった」明さんは「茶葉は洗浄せずに口に入る農産物だからこそ、安心安全でなければ」との思いを強く持つようになったと言う。

自然の力を知り、自然に寄り添う茶づくりを目指す

　　無農薬で茶を作り始めた明さんだが、当時無農薬茶園のデータや実績はどこにもなく「始めの2年は、まるで収穫できませんでした」と苦笑い。3年目にようやく、農薬散布時代の約4割を収穫した茶園には「害虫を食べてくれる、クモやカマキリ、テントウ虫などが生息し、自然の力は偉大だ」と実感。心配した品質も「香り高く、味わい深い茶葉が生産できるようになった」と、無農薬栽培の効果を喜ぶ。

父の偉業を尊び、思いを受け継ぐ7代目

　同園7代目の隆友さんは、同園が無農薬栽培開始後の昭和54年生まれ。「僕、農薬散布をしたことありませんねん」と笑顔で話し、父の偉業を「やり始めたこともすごいけれど、実績を積み上げていることがさらにすごい」と称える。現在、父とともに約2ヘクタールの茶園で無農薬の茶葉を栽培。製茶、販売も手掛ける隆友さんは父同様「消費者の声を直接聞ける貴重な機会」だと催事などでの対面販売を続けている。また「自分たちの取り組みを消費者に伝えることも大切な仕事」だと、茶園のチラシやパンフレットには商品紹介だけでなく、地域の歴史、製茶の信条等がぎっしりと書かれており片木さん親子の思いが伝わる内容になっている。

目指すのは世界ブランドの紅茶づくり―7代目の挑戦

　そんな隆友さんが挑戦するのは「国産無農薬紅茶」。昼夜の気温差が大きい朝宮の気候風土は「高品質の紅茶が作れる条件が揃っている」と言い「朝宮の紅茶を世界で通用するブランドに育てたい」と茶園の7代目は次なる夢を膨らませている。